2015年10月6日(火)
第333回高知県議会予算委員会質疑並びに一般質問【1問1答】




防災行政無線の戸別受信機(普及状況と市町村への助成制度、住民への情報伝達手段の確立に向けた取り組み)について

問 大野 
防災行政無線は、主に屋外に設置したスピーカーなどの装置により避難情報などの伝達を行っていますが、暴風雨の状態など雨戸など閉め切っている場合には、雨、風の音とともに大切な行政からの情報が家の中で聞こえない状況がある。市町村によっては、防災行政無線が聞き取りにくい世帯などに戸別受信機を設置しているところもあるが、災害など危険にさらされている住民を避難させるための災害情報をいかに確実に伝えるかが防災・減災の鍵であり、最も重要な対策である。県内における防災行政無線の戸別受信機の普及状況と市町村に対する助成制度について、危機管理部長に聞く。



答 野々村危機管理部長 
戸別受信機の普及状況は、平成27年8月時点で22市町村、難視聴地域を中心に2万4,123台設置されている。県助成は、地域防災対策総合補助金などによる支援を行い、平成24年度から26年度の3年間で9市町村4,108台の戸別受信機を整備している。



問 大野 
携帯電話などによって災害情報を伝達することが多くなっているが、高齢者の利用は少なく、住居が点在する山間地では情報を得る手段にも限界がある、広域的かつ個人に災害情報を伝える手段として、特に山間地域の高齢者世帯などには戸別受信機の設置が情報伝達に有効的と思われる。住民への伝達手段の確立に向け今後どう取り組んでいかれるのか、危機管理部長に聞く。



答 野々村危機管理部長 
災害時の情報は住民の方々に確実に伝えなければならず、複数の伝達手段を考えておく必要がある。市町村では、戸別受信機を含む防災行政無線だけでなく、ケーブルテレビなどの有線放送、携帯電話による緊急速報メール、テレビの文字放送などさまざまな手段を用いて災害情報の伝達を行っている。平成26年度から県の総合防災情報システムを使って携帯電話会社から緊急速報メールを送信することや、市町村から県に情報を報告することなどを同一操作で報道機関に発信できるよう整備し、一部のテレビ放送で直接文字放送として放送されるようにも整備・改善をしている。
防災行政無線については、災害の実際の対応や訓練を通じて確実に情報が伝わるかを検証し、伝わらないところには県の補助金を使って戸別受信機を整備している市町村もある。県も、防災行政無線の屋外子局だけでなく戸別受信機の整備などに対しても引き続き助成を行っていくこととあわせて、住民に正しく確実に情報を伝える方法や手段について市町村に対して支援をしていく。



大野 
山間地域で集落の点在する地域の高齢者世帯などの防災行政無線が聞こえにくい地域や災害弱者への情報伝達など「住民の命を守る取り組み」について、今後も市町村などとしっかり連携して進めていただきたい。

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集落活動センター(センターの課題と今後の県の支援、防災面の強化と市町村などとの連携)について

問 大野 
中山間地域対策として集落を維持・再生させる支え合いの仕組み、また地域の拠点として取り組んでこられた集落活動センターは、地域の暮らしを支える店舗の運営、地場産品・加工品づくり、交流活動、イベントなどさまざまな取り組みによって地域の活性化が図られているが、取り組みが進んだがゆえに課題も出てきている。住民組織の高齢化による人材不足、収益活動、補助金頼りの活動、補助申請の煩雑さ、行政と住民との乖離、集落活動を一番身近に支援する市町村役場も、この間の市町村合併や集中改革プランなどにより、マンパワーも不足している、そうした課題と今後の県の支援について中山間対策・運輸担当理事に聞く。



答 金谷中山間対策・運輸担当理事 
集落で住み続けていける仕組みをつくって継続していくことは簡単なことではないが、将来のことを考えると、今まさにやらなければならないことだと思っている。最も大事なことは、自らの住む集落を次の世代に残していこうという住民の方々の思いと、自らができることを通して参画をしていくということではないかと思っている。合意形成を図る段階と実践する段階、定着させる段階、それぞれに課題があることは承知している。県では地域からの相談に対して、しっかりと丁寧に対応できる体制と支援策を用意している、ぜひ地域から相談をしていただきたい。



大野 
外商などによって経済的な収益があることは理想であるが、よほど目玉となる商品や観光資源や素材がないと難しく、経済的な収益を求め過ぎると、しんどくなる部分も出てくる。大切なことは、山間地であろうが過疎地であろうが、そこに住んでいる人が楽しく幸せに生きがいを持って安心に暮らしていくことで、その一つとして集落活動がある。中山間地域の環境、状況は大変厳しいが、集落活動センターは高齢・過疎地域の全国先進モデルとなっており、県民に広く浸透して、高齢者の方は安心して健康で生きがいを持って地域で住み続け、若い人は地域に残ることのできる産業づくりや経済の活性化など、真の地域再生につながるよう今後も県の支援をお願いしたい。



問 大野 
集落活動センターは、今後県内で130カ所を目標に計画が進められ、各地で施設整備や改修が進むものと思われるが、地域住民との合意を大前提として、施設整備には設計段階から避難者が簡易に寝泊まりできるホール、ヘリポートを兼ね備えた駐車スペース、災害備蓄品の備蓄庫など地域の避難所としての機能を兼ね備えた施設整備の視点があれば、より地域住民の安心にもつながるのではないかと考える。今後の集落活動センターの施設整備に関して、避難所など防災面の強化と市町村などとの連携について中山間対策・運輸担当理事に聞く。


答 金谷中山間対策・運輸担当理事 
18カ所の集落活動センターのうち16カ所の拠点施設は、災害時の避難所として指定されており、簡易な宿泊ができるホール、災害備蓄用庫なども備わっている施設もある。うち13カ所のセンターでは緊急用のヘリポートが整備され、集落活動センターが地域の防災拠点としての役割を果たしていると考える。今後とも市町村、危機管理部とも連携をして、そういった形での整備を進めていきたい。



大野 
地域の避難所としての機能を兼ね備えた施設整備の視点があれば、より地域住民の安心につながるのではないかと思う。今後、集落活動センターなど集落の拠点となる施設の整備に関しては、地域の避難所や防災拠点としての機能強化の視点もあわせて、地域住民の安心・安全につながる整備の推進を支援していただくようお願いしたい。


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あったかふれあいセンター(本来の役割を果たすための支援、福祉避難所としての機能と役割)について

問 大野 
あったかふれあいセンターは、赤ちゃんから高齢者、障害者など制度や利用者の分け隔てなく、その地域地域に応じたきめ細かい福祉サービスの拠点として、多くの県民に楽しみや憩い、生きがいの場所として利用される高知型福祉施策の先進的な取り組みですが、介護保険制度の見直しもあり、今後介護予防事業の受け皿としての機能を担う役割が増えることが予想される。
新たな事業など取り組みが増す中で、あったかの原点である制度の谷間にある人のケアをいかに行うか、制度の垣根を越えて、その地域地域におけるきめ細かな福祉サービスをいかに行っていくのかが課題となっている。あったかふれあいセンターは、今後集落活動センターとの連携や介護保険事業、地域支援事業など福祉施策の受け皿となることが予想され、センターの担い手の負担の増大によりセンター本来の役割が果たせなくなるのではないかと懸念している、地域福祉部長の所見を聞く。



答 井奥地域福祉部長 
あったかふれあいセンターは、高知型福祉を実現するための取り組みとして、中山間地域などでその役割をしっかりと果たしていただいている。
中山間地域では福祉サービスなどの提供事業者の参入が進まない事情があり、これまで集落を支えてきた昭和一桁世代の方々が80歳を超える超高齢者という状況になり、一方で、地域の支え合い活動などの役割を担っていただく世代が少ない中で、65歳を超えた高齢者の方々に少しでも長く健康を維持して安心して暮らしていただくための環境を整える視点も重要と考える。
県ではあったかふれあいセンターが地域の福祉活動などで担ってきた機能をうまく活用する方向で機能強化に取り組んでいる。しかしながら一方で、議員のお話にもありますようにあったかふれあいセンターが果たすべき役割として、これまでの取り組みを進める中で、支援がなかなか行き届かなかった方たちへのきめ細かな支援といった視点も今後の取り組みを進める上では大事なことと考えており、これまであったかふれあいセンターが果たしてきた役割などを踏まえ、より多くの県民の皆様が地域地域で安心して住み続けられる高知型福祉の実現に向け、市町村や運営を担っている社会福祉協議会などと連携を図り県もしっかりと支援をしてまいりたい。



問 大野 
あったかふれあいセンターは、社会福祉協議会など社会福祉法人が運営されることが多いが、その社協などもさまざまな事業やサービスの受け皿となっている現状から、山間部などでは人員の不足などにより新たな事業の受け皿となりにくい場合もあると聞いている。今後、配食サービスや高齢者向け事業、地場産品の生産出荷などの経済的事業などを複合的に行うなど、今後あったかふれあいセンターと集落活動センターの連携はますます進み重要となってくると思います。また、あったかふれあいセンターのスタッフには福祉関係者が多く、災害時には地域における福祉避難所としての役割も担うことも想定されている。スタッフの人材確保とともに防災教育など、そうした課題も含めて福祉避難所としての機能と役割について、地域福祉部長の所見を聞く。


答 井奥地域福祉部長 
あったかふれあいセンターにつきましては、現時点で市町村が福祉避難所として指定しているのは拠点施設で7カ所と聞いている。
いずれも社会福祉施設とか町村の保健福祉センターなどとなっており、福祉避難所としての機能、役割を担う環境は十分整っていると考える。
そのほか避難所として指定が15カ所あり、受け入れ人数によっては福祉避難所的な対応も十分可能で、ハード面での課題を解決できれば福祉避難所としての再指定も可能。
また残る19カ所につきましては、センターの職員が発災後に最寄りの福祉避難所または避難所へ参集して、要配慮者への支援に取り組むことが考えられる。
昨年度から防災・減災の取り組みと地域福祉活動との一体的な推進を進める上でセンター職員への防災研修などにも取り組んでおり、今後は福祉避難所でのスタッフとしての役割が担えるよう専門的な知識を身につけるための研修の充実にも留意したい。
今後は地域内の社会福祉施設などとの災害時における相互支援のためのネットワークづくり、要配慮者への避難支援の仕組みづくりも進めていく必要があり、その際には議員のお話にもありますように、危機管理部設置の地域本部との情報共有を図りながら進めたい。



大野 
今後、集落活動センターや防災、あったかふれあいセンターの連携といった施策間の連携を強く進めていく部分と、制度の原点をしっかり維持・継続していく部分とを利用者、運営者、そして行政がしっかり理解して取り組みを行っていくことが大事ではないかと思います。あったかふれあいセンターに今後とも引き続きの県の支援をお願いしたい。


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選挙権年齢の引き下げ(高校生への主権者教育、教育現場への支援)について

問 大野 
公職選挙法の改正による選挙権年齢の引き下げに伴い、主権者となる若者への教育が課題となっています。
文部科学省は、高校生の学校内での政治活動を原則禁止とし、学校外での政治活動については一定の条件のもとで容認する方向で、高校生の主権者教育については、次期学習指導要領案において、選挙権年齢の引き下げを踏まえ高校生の公民における新科目として公共を創設し、主権者教育を必修とするとのことで、現実の社会的な問題を扱う場合など、政治的中立性の問題など多くの課題があり、学校現場の負担が増大することが予想される。
与党の文部科学部会が安倍総理に提出した提言では、高校生の政治活動について抑制するとともに、教育公務員の政治的行為の制限違反に罰則を科すための教育公務員特例法などの改正を求めている。
そうした中、山口県の県立高校の2年生の授業で行われた安全保障関連法案に関する模擬投票の中立性が不十分だったとして、山口県教育長が県議会において、「法案への賛否を問う形となり配慮が不足していた」と授業を問題視する見解を示した上で謝罪した事例がありました。
安全保障関連法案に限らず、政治的に是非の定まらない事象は多くあり、山口県の授業で現場の先生は、そうした課題に対して選挙権年齢が引き下げられることを念頭に、生徒に少しでも政治に関心を持ってもらえるための工夫と努力をしたもので、授業で生徒が自由に意見を述べ討論できることは民主国家の教育として当然であり、近い将来、主権者、有権者として政治に参加し、選挙で投票する子どもたちにとってさまざまなリハーサルにもなり、選挙への関心を向上させる意味でも大変有意義な授業であったと私は逆に高く評価できるものであったと思う。
今回の法改正を踏まえ、学校現場にはさまざまな対応が求められるが、高校生への主権者教育と中立性が求められる学校現場に対して、既に罰則の議論が進んでいる現状について、教育長の所見を聞く。



答 田村教育長 
今回の改正法の施行によって選挙権年齢が引き下げられたということで、生徒が選挙権を有するものとして自らの判断で権利を行使することができ、これまで以上に具体的かつ実践的な政治的教養の教育に取り組むことが必要だと思っている。その際には、その賛否が分かれるような現実の具体的な政治的事象を扱うということになり、そういった意味ではこれまで以上に政治的な中立への配慮が求められると思っている。
政治的中立に違反した場合に罰則を科すといった議論が行われているが、さまざまな意見が分かれており、効果もあると思いますし、弊害もあるかと思いますので、まさに多角的、多面的な御検討をお願いしたいと思っている。


問 大野 
教育現場は70年ぶりの選挙権年齢の引き下げによってどう主権者教育に取り組んでいくのか戸惑い試行錯誤をしているものと思います。
そうした教育現場の混乱に便乗して、それを利用して権力や政治が現場に介入する山口県のような事例は、現場をますます萎縮させ、教育現場をますます混乱させるものである。
教育において大切なことは、世の中にはさまざまな多種多様な考え方があり、それぞれの立場があるということをできる限り公平に紹介して、子どもたちがそれを自主的に選んだり判断したりできる力を養うことではないかと思う。未来の有権者を育てるために、教育委員会にはそうした現場で試行錯誤しながら主権者教育に取り組む教員を政治などの権力の介入からサポートする役目、役割もあると思います。
学校現場、教育現場の自由がなくなると、政治的な討論はますますできなくなってしまいます。そうしたことが若者の政治不信、政治離れにつながり、結果として低投票率につながっていく一つになるものとも思います。
今回の選挙制度の改正では、現実として未成年者が多く政治、選挙に参加するようになり、そうした中、高校生の政治活動を過度に抑制したり、教育現場に対して罰則ありきの議論には違和感を感じざるを得ませんし、あってはならないと考えるものであります。
この改正を機に若者の声が選挙や政治に反映されることを期待しておりますし、若者が政治に参加することはこの国にとって将来にとってとても重要なことである。
私も3人の小学生の子どもを持つ親ですが、子どもや子どもを預かる学校や先生を政治や権力で過度に抑制するのではなく、自由闊達に世の中のさまざまな選択肢を見て、広い視野を持てるようになってもらいたい。
そのためにも、現場で教員が萎縮することなく子どもたちとしっかり向き合える教育の現場環境をお願いしたい。
これからの未来の有権者、主権者を育てるため、教育現場、学校現場への教育委員会の支援、サポートについて教育長に聞く。



答 田村教育長 
生徒が有権者としてのみずからの判断で権利を行使する力を育むためには、現実の具体的な政治的事象を題材とした授業を積極的に行うことが必要で、その際には、政治的な中立性の確保は大前提で、生徒が課題を多面的、多角的に考察しながらクラスの中でほかの生徒と自由闊達に議論が行われるような、そういった協働的な学びが行える環境をつくることも重要だと思います。
そのための教員の創意工夫といったことが大いにされるべきだと思っている。
公民科の授業だけでなく、特別活動や総合的な学習の時間などでも行われるということで、関係する教員に対する指導ができるような研修について県教委としても力を尽くしてまいりたい。

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アウトドア拠点整備について

問 大野 
経済の活性化、観光振興策の強化策として、モンベルやスノーピークといったアウトドア関連の全国ブランドと地域自治体の連携によるキャンプ場整備計画など、アウトドア拠点の整備支援事業について県が自治体を支援していくとのことですが、アウトドア関連の大変有名な会社とのコラボレーションは地元自治体住民にとって大変期待が大きい、観光振興部長の所見を聞く。



答 伊藤観光振興部長 
全国ブランドのアウトドア系企業とのコラボレーションによる拠点整備につきましては、県内外から大きな集客が期待できるものと考えている。
県も整備をする市町にとどまらず、広域エリアに大きな経済効果をもたらす拠点づくりにつながるよう、それぞれの市町の整備構想づくりはもとより、企業との調整にも全面的にかかわってきた。これからそれぞれの広域観光組織や構成市町村とも連携しながら、広域エリア全体の観光振興につながるように県としても全面的にバックアップしていきたい。

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